ニキビの好発部位
毛包は人の体のほとんどの部位にありますが,ニキビの出る毛包は限られています。顔にでやすいことは言うまでもありませんが,年齢によって多少の違いがあります。10代では,おでこに多く,20代から30代になると下顎の方に多くなります。その他,くび,背中や胸の上の方にでることも珍しくありません。これらの場所では,発達した脂の腺をもつ毛の穴(脂腺性毛包)があるからです。原因
思春期になると性ホルモンの働きが盛んになりますが,中でも男性ホルモンのアンドロゲンは皮脂の分泌を増加させます。この時期に毛の穴が角質によってふさがれますと,出口を失った脂が毛包内にたまります。普通の状態でも,毛包はニキビ桿菌のすみかになっていますが,この菌は脂を好みますし,脂によりふさがれると,ますます繁殖することになります。さらにニキビ桿菌が作り出す酵素(リパーゼ)によって脂が分解されて炎症の原因となります。
まとめますと,ニキビの原因は
1)性ホルモン
2)毛包の閉塞
3)ニキビ桿菌の増殖
4)炎症
です。
悪化因子
上に述べたような直接の原因以外にも,ニキビを悪化させる様々の因子があります。寝不足やストレスは,ほとんどの病気に共通する悪化原因です。女性では多くの場合,生理前に悪化します。前髪の刺激によっておでこのニキビが悪くなることもありますし,化粧品によって悪化することもあります。
スキンケア
十分に睡眠をとることもスキンケアには大切です。汗や脂は毛包を塞いでニキビの原因や悪化因子となりますので石けんを使った洗顔を励行しましょう。コールドクリーム,ファンデーション,乳液など油性の化粧品は使用をさしひかえた方が無難です。前髪を垂らすとかヘアバンドでおでこを刺激するのも好ましくありません。ニキビを指でつぶすと,化膿したり傷跡を残したりします。食べ物は,一版に信じられているほど影響はありませんので,極端でなければ特に気を付ける必要はありません。
治療
ニキビの原因を考えてもわかるように,1)毛包の閉塞を防ぐ2)菌の増殖を防ぐ3)炎症を抑えることが治療の基本です。1)に対しては硫黄を含んだローションがよく用いられます。2)には抗生物質のつけ薬やのみ薬,特にテトラサイクリン系とマクロライド系の薬に効果があります。注意すべき事は,湿疹などの治療に使われる副腎皮質ホルモン外用剤(ステロイド剤)によりニキビは悪化します。