乾癬

乾癬とは

 乾癬とは,皮膚が赤くなって盛り上がって,表面が魚のうろこ,あるいは雲母のような白く暑い鱗屑が付着し,乾燥してポロポロとはがれ落ちてくる病気です。ウイルスや細菌などによる感染症ではないので,周囲の人にうつる心配は全くありません。でもこの病気の原因は,今のところまだはっきりわかっていないので,根本的な治療法がなく,軽快,増悪を繰り返す経過の長い病気です。

好発部位

 乾癬は,こすったりきずつけたりする刺激が加わると新しい発疹ができてくる傾向があります。これをケブネル現象といいます。したがってはじめて発疹に気がつく場所としては,肘,膝,臀部,頭部などこすれやすい場所があげられます。

乾癬がおこるのは

 乾癬のおこる原因はまだはっきりとわかっていません。家族に乾癬が見られたりすることから,遺伝が関係しているようですが,日本での調査では家族内発症は5%とそう高くありません。ですから,乾癬を起こしやすい体質を持っていても,必ずしも病気が起こってくるとは限らないのです。遺伝的な要素以外に,いろいろな外的因子(ストレス,風邪などの感染症,薬物,外傷など)や内的因子(肝臓病,糖尿病など)が,乾癬を起こしやすい体質に加わって病気として発症したり,悪化したりするものと考えられています。

 日本では,約10万人の患者さんがいると考えられています。男性は女性の2倍多く,発症年齢は男性では40歳代にピークがあり,女性では,20歳代と40歳代にピークがあるといわれています。

ページの最初に戻る

乾癬のタイプ

 発疹のあらわれ方や,合併症などから,いろいろなタイプにわけられます。

 1)尋常性乾癬

    普通の乾癬で90%近くがこのタイプです。

 2)膿疱性乾癬

    表面に膿をもつ膿疱がたくさん出てきて,発熱などの症状があるものです。

 3)乾癬性紅皮症

    発疹が全身に広がって,全身が赤くなるものです。

 4)関節症性乾癬

    手足の指や背骨などの関節がおかされて変形するものです。

 5)滴状乾癬

    のどが痛くなって発熱したあとに,しずく状の小さい(大豆くらいまでの大きさ)発疹が出るものです。

ページの最初に戻る

治療

 乾癬の治療にはさまざまなものがあります。外用療法,内服療法,光線療法などですが,これらを単独あるいは併用で行います。

 具体的な治療メニューは,それぞれの症状や経過から決められてゆきます。それぞれの療法には,それなりに副作用がありますから,定期的に医師の診察を受け,その指示をしっかりと守ってください。決して自分で勝手に治療メニューをきめてしまわないようにしましょう。

 経過が長い病気ですから,乾癬を目の敵にせず,あせらずだましだまし病気と長く付き合ってゆく気持ちが大切です。

ページの最初に戻る

日常生活上の注意

 1)食事

   食べ物で特に注意するものはありませんが,肉類や脂肪分が多い食事はあまり取りすぎないようにした方が良いでしょう。かといってあまりかたよった食事もよくありません。大切なのはバランスのとれた規則正しい食習慣です。

 2)アルコール,タバコ

   乾癬にはよくないことが知られています。できるだけ避けるようにして下さい。

 3)ストレス

   精神的なストレスで乾癬は悪化します。ストレスをためないように独自の解消法をみつけて,気分転換をできるように努力してください。

 4)風邪

   風邪などの感染症にかかると乾癬が悪化しやすくなります。風邪をこじらせないように,ちょっとでも風邪気味と感じたらしっかり休養をとり早く治すようにしましょう。風邪のシーズンには,予防のためよくうがいをし,手を洗いましょう。

 5)皮膚の刺激はさけましょう

   肘や膝に乾癬が出やすいのは,よくこすれる部位だからです。他の部位でもゴシゴシこすったり,かゆくてひっかいたりすると発疹のなかったところに新しい乾癬の発疹が出てきます。これをケブネル現象といいます。肘や膝をつくくせをやめるようにし,皮膚に刺激の少ない素材のゆったりした衣服を着るようにして下さい。カサカサした発疹をお風呂でゴシゴシと洗うのはもってのほかです。

 6)日光浴は乾癬に良い

   日光照射量の少ない北国で乾癬は治りにくいといわれています。日光浴だけでも乾癬がかなり良くなる場合があるので治療法の一つにもなっています。冬のように外が寒い時は,ガラス越しの日光浴でもかまいません。

   ただ,急な日焼けは,かえってケブネル現象をひきおこし悪化してしまうこともあるので,南の島などに行ってあせって日焼けをしようとしてはいけません。

 7)入浴はこまめに

   入浴やシャワーは毎日行うのが良いでしょう。皮膚を常に清潔に保つことも悪化を防ぐために大切なことです。ただしゴシゴシとこすりすぎないこと,入浴後にはやさしく体をふいてすぐに塗り薬を塗るようにしましょう。

ページの最初に戻る